克服するということ

肉体派の強いおばあちゃんと、幽霊（怨霊？）が戦うという一風変わったホラー映画、「サユリ」を見た。

幽霊による祟りともいえる攻撃により、次々と家族を失っていく主人公。 そんな絶望の淵、おばあちゃんが覚醒し、主人公に「弱さを見せればそこをつけこまれる、生の強さを見せつけろ」と己の武術を叩き込む少年漫画のような展開が始まる。
己を鍛え、霊に負けるものかと復讐心によって立ち直っていく主人公を見ていて、「死を乗り越える」ってこういうものかもしれないと感じた。

人が死ぬと、葬式が行われ、口座なり色々と事後手続きを行う必要がある。ぼくはまだ喪主になったことがないので細かに行われる事柄はわからない。 けれど、苦しいさなかそういった忙しさがあることが逆に救いになるという話をよく聞く。
死を乗り越えるには時間が必要だ、それはある意味で痛みを忘れるということなのかもしれない。 その時間稼ぎとして考える暇もないほどの事を行うことで、人は痛みを耐え抜ける、この主人公には「己を鍛え、復讐する」ことがそれなのかもしれないと感じた。

私は友達を失ったとき、何もできず、何もしなかった、それが乗り越えられずに痛みを抱え続けている要因なのかもしれない。自分に必要だったのは何も考えられないほどの仕事量だったのかも。
でも、「ぼくらの食卓」では「失った痛みを引き受けることが、愛していたということなんじゃないか」って言っていたから、それはそれで痛みを受けることも間違っていないと思う。
なんだかとりとめのなく、映画の主軸とは関係ない感想だけど、映画自体は面白かったです。ほかにもメンタルが削がれる箇所が、怨霊になるきっかけとか拷問？シーンとかジャンプスケアとかいろいろあったけど。